酒蔵案内
日本酒について
「日本酒は、お米を発酵させて造られる醸造酒」。発酵とは、酵母が糖分を食べてアルコールを出すことですが、お米には糖分がないため発酵することができません。日本酒は、まずお米を麹菌の酵素によって糖分に変え、そこに酵母を加えて発酵させるという、きわめて巧妙・複雑な仕組みによって造られています。
日本酒の特性
精米・蒸米(むしまい)
酒造りは、原料となる玄米を精米し、蒸すことから始まります。蒸し米は麹造り、酒母、もろみの仕込みに使われます。
麹(こうじ)
蒸し米に黄麹菌を植えて麹を造ります。麹は酒母、もろみにいれて米のデンプンを糖化していく役割を果たします。
酒 母(もと)
酒母は蒸し米、水、麹に酵母を加えたもので、もろみの発酵を促す酵母を大量に培養したもの。日本酒造りには、良い酵母が大量に必要ですから、文字どおり「酒の母」といえます。
段仕込み
ここで日本酒造りの特徴である三段階に分けて仕込みをする段仕込みが行われます。一日目は初添え。翌日は仕込みはお休み。酵母はゆっくりと増えていきますが、これを踊りといいます。三日目に二回目の仕込み(仲添え)をし、四日目に三回目の仕込み(留添え)をして仕込みは完了します。段仕込みは、雑菌の繁殖を抑えつつ酵母の増殖を促し、もろみの温度管理をやりやすくするための独得の方法なのです。
もろみ(造り)
いよいよ、この酒母に麹、蒸し米、水を加えてもろみを仕込みます。
このもろみがやがて原酒となります。
新酒誕生
二十日ほどかけて発酵を終えたもろみは、圧搾機で搾られ、酒と酒粕に分けられます。搾りたての新酒は、ろ過、加熱(火入れ)され、そして貯蔵されます。また製成後、一切加熱処理をしないお酒を生酒といい、製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、出荷の際に加熱処理するお酒を生貯蔵酒といいます。精米から、並行複発酵、段仕込みというとても複雑な工程を経て、約六十日間をかけて、日本酒は誕生するのです。
初呑切り
酒を検査するため、タンクの呑口を開けることを「呑切り」といいます。 日本酒は気温が上昇し酒質が変化しがちな6月頃に「初呑切り」が行われ、以後気温の下がる10月頃まで月一回ごとの「呑切り」を経てもっとも飲み頃になる秋に出荷されます。
日本酒の寒造り
四季醸造で季節を問わずお酒を造っている大きな蔵がありますが、江戸中期頃までは、日本酒はほとんど一年中造られていました。しかし、次第に品質の優れたものができる冬の間の "寒造り"へと移行してきました。今では1月4〜5日から2月の立春までの約一ヶ月の間に仕込んだ酒を「寒造り新酒」として出荷しています。寒い季節に造られた日本酒は、ある期間おいてから"火入れ"と呼ばれる低温殺菌をほどこし貯蔵、熟成させ秋に出荷します。